研究分担者 |
伊勢川 裕二 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (20184583)
石原 智明 酪農学園大学, 獣医学科, 教授 (90082172)
吉松 組子 北海道大学, 免疫科学研究所, 教務職員 (90220722)
板倉 智敏 北海道大学, 獣医学部, 教授 (30021695)
橋本 信夫 北海道大学, 獣医学部, 教授 (60082103)
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研究概要 |
1.腎症候性出血熱ウイルスSR-11株もしくはHantaan76-118株で実験感染されたSCIDマウスの各種臓器からウイルス分離を試みた。その結果、脾臓では接種後最も早く(4日後)また悩,肺,腎臓からはウイルス接種後14日目以降継続してウイルスが分離され,これまでに得られている免疫組織学的検索による抗原の分布成績と極めて一致することが明らかになった。さらに,感染SCIDマウスでは接種10日目以降血清と血球分画のいずれからもウイルスが分離され、血清中へもウイルスが継続的に排出されていることが判明した。 2.Hantaan76-118株過染後21日後のSCIDマウスに正常BALB/cマウス由来の脾臓細胞を移入した。その結果,細胞移入4日目以降,腎臓の機能障害の指標である血中BUN値の顕著な上昇が認められた。このBUN値の変動は血中の抗Hantaan virus抗体の急激な出現と同時に観察されたことから,感染腎臓組織への免疫反応が機能障害を引き起こしていると考えられた。しかし,明瞭な病理組織学的変性の出現は確認されていない。今後,感染SCIDマウスへの移入実験を通して腎症候性出血熱発症のモデル動物確立へ検討を加える予定である。 3.感染動物臓器から抽出されるRNAを鋳型として合成したcDNAを用いるRTーPCRを確立した。さらに,NestedーPCR法を組み合わせることによって検出感度の向上が可能であった。 4.Hantaan76-118株感染マウスから経日的に血液と各種臓器を採材し,そこからのウイルスゲノム検出をRTーPCR法で実施した。その結果,ゲノム検出には血球分画が最適であった。検出感度はウイルス分離法と概ね同等であったが短期間で実施可能であり,また,分離法のように血中の中和抗体の存在に影響されないことから,今後,持続感染マウスの病態の解析にも応用可能であると考えられた。
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