研究概要 |
フレ-ジング(表現意図に応じて文に休止を挿入し,休止によって区切られた句に適切なイントネ-ションを与えること)によって意味が変わるものとして統語的あいまい文を材料にして,ポ-ズの適切な位置と長さを検討している。 統語的あいまい文としては,[Vして]の主語が主文の主語[NP1]とも,埋め込み文の主語[NP2]とも解釈できる次の構造のものを使い,(1)・(2)・(3)の3種類のポ-ズの位置を設定した。 (例)おじいさんは(NP1)びっくりして(Vして)角から飛び出してきた男の子が(NP2)よけきれなかった (1) NP1は(1) Vして NP2 Pred ([NP1は]のあとにポ-ズ) (2) NP1は(1) Vして(2) NP2 Pred ([NP1は][Vして]のあとにポ-ズ) (3) NP1は(1) Vして NP2(2) Pred ([NP1は][NP2]のあとにポ-ズ) テスト文18,フィラ-文22あわせて実験文40を作成し,日本人学生を対象に予備的な実験を行った。その結果,[Vして]の主語の解釈は,(1)では埋め込み文の主語,(2)では主文の主語に偏る傾向が見られた。(3)ではすべて埋め込み文の主語と解釈された。(3)で[NP2]のあとにポ-ズを挿入するのは日本語のフレ-ジングとしては多少自然だとの評価を受けたが,あいまい性の解消という点では効果的であった。
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