研究概要 |
1.多変量解析諸手法のモデル再現性に関する数値実験 数個(n)の点からなる2次元図形と,同じ平面内の少数個(m)の観測点との間の直線距離をデ-タとし,nを反復回数と見てm次の標本相関行列Rを作り,大きい方から2個の因子を抽出すれば,因子スコアから第1群の点,因子負荷から第2群の点の散布図が平面上に描かれる.このようなデ-タ行列を解析することができる5つの多変量解析諸手法,林の数量化法第3類,定性的正準相関分析,因子分析(重心法),因子分析(最小2乗法),主成分分析,が原図形をどの程度再現するかを考えた.これらの方法は,この順序で再現性がよくなり,最後の2つはよい勝負であった。この研究の中でこれらの解析手法の適用に関する有用な知見が得られた。この研究は雑誌「行動計量学」19巻第1号に掲載予定である. 2.数量化法第2類の人工デ-タ 筆者は1990年発表の論文において,林の数量化法第2類のための人工デ-タを提出した.これは3つの群と4つの項目からなり,個体数は2^4=16である.各項目はそれぞれ2つのカテゴリ-(成功と失敗)に分かれ,デ-タは項目の順序に関する対称性をもっている.今回,成功と失敗の交換に関する対称性をもつデ-タを工夫した.4つの群と3つの項目をもち,個体数は2^3=8である.さらに,順序型と交換型の2つの変換の両方に関して対称なデ-タをも作ることができた.これらの人工デ-タは非常に単純であって,解を解析的に求めることができ,初学者にとってよい教材になることが期待される.この研究は雑誌「日本統計学会誌」22巻第2号に掲載予定である.
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