研究課題/領域番号 |
03640260
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
田辺 孝哉 埼玉大学, 教養部, 教授 (00008905)
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研究分担者 |
吉永 尚孝 埼玉大学, 教養部, 助教授 (00192427)
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キーワード | Highーspin states / Rotational state / Collective motion / Superdeformation / HartreeーFockーBogoliubov(HFB) approximation / Random phase approximation(RPA) / Finite temperature / Chaos |
研究概要 |
原子核の高励起状態の内部構造を微視的相互作用と単一粒子空間基底とから一貫して記述する立場からの解析を行った。(1)単極対相関、4極対相関相互作用及び4極相互作用を仮定したHFB方程式の自己無撞着解によって、軽い希土類核( ^<132>Ce、 ^<134.136>Nd)に関して、基底バンド、sバンドと共に超変形バンドを記述した。これは完全な微視的理論としては初めて超変形状態の再現に成功したものである。 ^<132>Ceと ^<134>Ndの超変形状態では対相関ギャップが消失しているが、中性子が2個多い ^<136>Ndでは核運動量の増大に伴う中性子のスピン整列が系の全角運動量を補うため、他の中性子対の解難が抑えられ、ギャップは有限のまま残る。従って、超変形状態でも、粒子軌道占有の違いに対応して微視的内部構造の変化が予測される。これらの結果は論文として発表された。(2)多くのブロック準位が存在する場合についても適用できるHFB計算コ-ドを開発した。(3)HFB解が与える準粒子描像に基づく有限温度RPA(TRPA)計算を高温・高速回転状態上に励起されたE1巨大共鳴状態に適用した。特に、γ線吸収断面積、角分布に関する非対称パラメ-タ等について、通常変形と超変形との差異、角運動量と温度依存性に関する解析を行った。結果を論文として発表予定である。(4)大きく変形した原子核において、エネルギ-とE2遷移により、古展的な意味で“可積分性"があることが実験的に示唆されているが、このことを相互作用するボソン模型を用いて理論的に示した。4重極振動と回転の中間の遷移領域では、集団運動の自由度しか無い場合でも、“カオス"が発生することが分かった。この結果は論文として発表された。(5)温度効果が準粒子数の揺動をもたらすことに着目すると、有限温度の場合の散逸効果を取り入れて記述するための新しいTRPAの定式化が可能であることが分かった。論文として発表予定である。
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