1.現有の希釈冷凍機に付加し、それの核断熱消磁によって試料セルをサブmKまで冷却するための銅核ステ-ジを設計し、試作品を製作した。超微細な空間に閉じ込められた液体 ^3Heの比熱を超低温で精度良く測定する為には、セルを一定温度に長時間保持できることが重要であり、核ステ-ジは、熱容量が大きく、熱伝導の良いことが要求される。この点を考慮し、超高純度銅を用いることとし、残留抵抗比(RRR)を上げる為の熱処理条件を調べた。従来の核ステ-ジは無酸素銅から加工し、RRRは1000程度であったが、我々の用いた超高純度銅では、10000以上に上がった。しかし、熱処理の際の雰囲気ガス中の酸素ガス濃度が高いとRRRは激減するという知見が得られた。 2.超微細な空間に液体 ^3Heを詰めるためのセルを製作した。市販されている白金微粒子のうち最も微細な粉末(表面積31m^2/g、粒径100Å)を用い、加圧・焼結し、その後、再び表面積測定を行って、充填率が大きく、しかも焼結による表面積の減少の少ない条件を調べた。Ar雰囲気中で、150℃で30分仮焼結後、2000気圧に加圧し、再びAr雰囲気中で、120℃で20分間焼結したものは、充填率44%、表面積30m^2/gと良好な結果が得られた。これはロ-チ等がHeーH_2雰囲気中で焼結した結果に比べ、同じ充填率に対し、2倍の表面積を持つ。今後、容器の壁と焼結体の結合を良くする方法を見い出す必要がある。 3.銅核ステ-ジの製作および ^3Heセルの製作に予定より長い期間を要したが、平成4年度中には、当初の目標を達成できる見通しである。
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