本年度は研究計画の最終年度にあたるため、昨年度の研究結果を詳細に検討するとともに、内容を補った。 すなわち、昨年度に引き続き、布の保温・透湿特性の基礎となる各種物性値を得るための実験・解析を行った。布本来の熱伝導率(真空中での値)、透過率、熱通過率などの値を測定し、それらの値をもとに、ASTM規格によって定められる熱通過率の妥当性などを総合的に検討し、ASTM規格そのものの改良の方向を考察した。具体的な内容の概要は以下の通りである。 1.非定常平板法(O.KRISCHER法)により、真空中および空気中での布の熱浸透率、比熱、熱伝導率を同時測定する測定装置を製作し、ポリエステル繊維を平織りした標準布の測定を行った。 2.ダルシー則の成立する、流速の低い状態で安定した流量を保ちながら布の透過率を正確に測定できる測定装置を設計・試作し、標準布の測定を行った。 3.ASTM規格に準拠した布の熱通過率測定装置を製作し、上記1.2.の場合と同じ布について熱通過率の測定を行い、非定常平板法によって得られる諸量との関連を検討した。その結果をもとに、ASTM規格による測定法の問題点を抽出し、改良法を模索した。
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