衣服保温・透湿性を最適化するために、布の保温・透湿特性の基礎となる各種物性値を得るための実験・解析を行った。布本来の熱伝導率(真空中での値)、透過率、空隙率、見かけ厚さを正確に測定し、ASTM規格によって定められる熱通過率の妥当性を検討し、ASTM規格そのものの改良の方向を示した。 平成3年度の成果の概要は以下の通りである。 1.非定常平板法(O.KRISCHER法)により真空中および空気中での布の熱浸透率、比熱、熱伝導率を同時測定する測定装置を製作し、ポリエステル繊維を平織りした標準布の測定を行った。 2.ダルシー則の成立する、流速の低い状態で安定した流量を保ちながら布の透過率を正確に測定できる測定装置を設計・試作し、標準布の測定を行った。 3.ASTM規格に準拠した布の熱通過率測定装置を製作し、上記1.2.の場合と同じ布について熱通過率の測定を行った。その結果、ASTM規格による測定法の問題点としてガードヒーターの制御が極めて困難であることと、測定試料布上面の自然対流の補正が適切でないことを明らかにした。 平成4年度は、平成3年度の研究結果を詳細に検討するとともに、内容を補った。
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