近年、食生活の欧米化に伴い、高蛋白・高脂肪食を摂取する機会が増加している。最近、高蛋白食摂取により腎ヘモダイナミックス変の更(糸球体ろ過率・腎血漿流量の上昇)が観察されることが報告されている。血管拡張性プロスタグランディン及び、血管収縮性トロンボキサンは、腎糸球体で産生され、他の血管収縮性ペプチド、特にアンジオテンシIIと伴に、局所的に腎へモダイナミックスを調節することが知られている。故に、高蛋白食摂取により腎ヘモダイナミックス変更の分子機構を明らかにするために、高蛋白食又は、低蛋白食を8週間摂取したラット腎糸球体を用いて、血管拡張性・収縮性エイコサノイド産生能、サイクロオキシゲナ-ゼ量・活性び、ホスホリパ-ゼA_2・C活性を測定した。高蛋白食摂取ラット腎糸球体によりPGE_2・6ーkete PGF_<12>・TxB_2の産生能は、低蛋白食摂取ラット腎糸球体に比し、有意に亢進していた。また、サイクロオキシゲナ-ゼ量・活性も、高蛋白食摂取ラット腎糸球体で、有意に高値を示した。同様に、PE特異的ホスホリパ-ゼA_2活性も、高蛋白食摂取ラット腎糸球体で、低蛋白食摂取ラット腎糸球体に比し、有意に高かった。一方、PC特異的ホスホリパ-ゼA_2活性は、高蛋白食摂取ラット腎糸球体で有意に低値を示し、PIP_2特異的にホスホリパ-ゼC活性は、両グル-プの間で有意な変化は認められなかった。ンジオテンシンI変換酵素阻害剤の投与により、高蛋白食摂取により亢進したエイコサノイド産生は、低蛋白食摂取で観察されるエイコサノイド産生のレベルまで低下した。以上より、高蛋白食摂取により、レニン・アンジオテンシン系の活性化→PE特異的ホスホリパ-ゼA_2の活性化→サイクロオキシゲナ-ゼの活性化→エイコサノイド産生亢進が誘導され、その結果、血管拡張性エイコサノイド(PGE_2・6ーkete PGF_<12>)により糸球体ろ過率・腎血漿流量の増加が惹起されることが示唆される。
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