1.生物学的モニタリング手法の解立 水素化物発生装置を用い、液体窒素コ-ルドトラップを組み合わせた還元気化原子吸光法による尿中砒素の化学種別分離定量法を、生物学的モニタリングの手法として確立した。 2.ガリウム砒素曝露作業者に対するフィ-ルド調査 実際のガリウム砒素系半導体製造作業従事者に対するフィ-ルド調査を実施した。 (1)作業環境気中濃度および個人曝露濃度測定 概ねすべての作業で、砒素およびガりウム濃度は非常に低かった。しかし、ガリウム砒素単結晶製造の容器清掃作業では、短時間ながら比較的高濃度の砒素に曝露している作業者が存在する事が明らかになった。 (2)生物学的モニタリング 生物学的モニタリングの結果、全員の尿中砒素濃度は正常範囲内であり、作業による砒素の体内吸収は低いレベルである事が明らかになった。 (3)健康影響の検討 健康影響指標として、血液学的検査、肝機能検査、免疫学的検査(T細胞数、B細胞数、リンパ球幼若化反応)、尿中ポルフィリン代謝物(コプロポルフィリン、ウロポルフィリン、δーアミノレブリン酸)を用いて、現場作業者の健康状態について調査を行った。その結果、この範囲内では、健康影響は見られなかった。
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