1)ラット食道静脈瘤出血モデルの止血までの出血時間をより客観的に評価に耐え得る様にした。ラット食道静脈瘤出血モデルのF_1以上の食道静脈瘤を形成しているWistar ST/SLCラットに、ヘパリン1000単位を尾静脈より静注後、ラットEISチューブより30G逆穿刺針を用いて出血させ、ラット食道内視鏡システムに電子内視鏡で描出し、止血まで時間を観察した。その結果は(17.70±1.69)分であった。 2)各種止血法と血管作動物質との併用の検討。硬化剤単独の止血までの時間はEO群=2.59±0.90分、AS群=2.16±0.59分で、血管作動物質であるプロプラノロール単独群=14.38±1.73分、バソプレシン単独群=7.97±0.43分であることが判明した。すなわち硬化剤ではEOとASに止血効果に差がない事が判明した。プロプラノロールとバソプレシンはバソプレシンの方が単独でプロプラノロールより止血効果が有意に高い事が判明した。そこで効果剤はASのみを対象に併用効果を検索した。AS+バソプレシン群=1.94±0.56分、AS+プロプラノロール群=3.23±0.91分と硬化剤単独使用群とやや止血効果は増強するものの、統計的な有意差は認めなかった。そのため各種止血法はトロンビン散布=12.23±1.38分、電気凝固法=3.91±0.79分、ヒートプローベ法=4.20±0.79分であり、併用法は一部検討したがすべて有意の差が出なかった。 3)血管作動物質としてプロプラノロールをラットの大腿静脈から1mg/100g/minで注入した。門脈圧は(16.7±3.6)mmHgから(12.5±2.8)mmHgに変化した。またバソプレシンは0.02U/kg/minで注入。門脈圧は(15.5±4.8)mmHgから(10.7±3.3)mmHgに変化し、統計的に有意であった。 4)蛍光内視鏡による循環時間の測定は、Controlの大腿静脈-食堂静脈瘤循環時間(6.15±1.23)秒に対して、プロプラノロール群は(7.25±2.20)秒、バソプレシン群は(7.20±1.60)秒と延長傾向にあったが、有意差はなかった。硬化剤との併用もいずれも時間に差がなく、血行動態に変化をきたさない事が判明した。
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