研究概要 |
1.膜の流動性:10%牛胎児血清を含むDMEM培地にて3日間培養したCー6グリア細胞をポリトロンにて破砕後、ホモジネ-ト液の蛋白濃度を変化させたところ,0.5mg/dlにて最大の蛍光強度が得られ,これ以上の濃度ではホモジネ-ト液の混濁度増大の為、測定値が不安定となった。また加えるプロ-ブ量は他の文献例などを参照した。Cー6グリア細胞を破砕せず、形質膜を出来るだけ生理的な状態に保ったまま膜の流動性を測定するため、プロ-ブをTMAーDPHに替えた。この場合、培養はディッシュに13×40mmのポリ-レ-リジンでコ-トしたマイクロプレ-トを置いて行なった。TMAーDPHをマイクロプレ-ト上のCー6グリア細胞とインキュベ-ト後、蛍光強度の時間変化をみたが、5分後より測定値がプラト-に達し、以後20分間測定中は安定していた。今回、TMAーDPHを用いた測定値は、DPHとホモジネ-トを用いたものと比べ、個々の変動が大きく測定方法の検討が必要と思われた。 2.膜の脂質分析:ホモジネ-トしたCー6グリア細胞の総脂質の脂肪酸分析をガスクロマトグラフィ-で行なった。炭、数22以上の極長鎖脂肪酸の含量は総脂質の数パ-セント以下と低く、資料の量を増やしたり、予め薄層クロマトグラフィ-で分画したりして濃縮する必要があると思われた。 近年、ペルオキシゾ-ム病のモデル系としてCHO細胞の変異株について分子生物学的な研究が報告されている。今後、Cー6グリア細胞にβー酸化系酵素阻害剤を加える系と併行して同様の実験をCHO細胞の野性株と変異株で比較して行なえれば新たな知見が得られると思われる。
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