研究課題/領域番号 |
03670867
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
土肥 敏博 広島大学, 歯学部, 教授 (00034182)
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研究分担者 |
津留 宏道 広島大学, 歯学部, 教授 (90034157)
森田 克也 広島大学, 歯学部, 助手 (10116684)
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キーワード | 顎下腺 / ムチン分泌 / アセチルコリン / カルシウム / GTP結合蛋白質 |
研究概要 |
イヌ顎下腺腺房細胞におけるムチン分泌機構を明らかにする目的で、各種受容体刺激による細胞応答について検討し、以下の結果を得た。 1イヌ顎下腺をコラゲナ-ゼ/ヒアルロニダ-ゼで処理することにより単離細胞とした。Ca^<2+>蛍光指示薬fura2を取込ませた後、細胞内遊離Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]i)を二波長蛍光分光々度計(日立Fー2000)にて測定した。静止時の〔Ca^<2+>〕iは50ー200nMであった。アセチルコリン(ACh)(10^<ー8>10^<ー4>M)は濃度依存的に[Ca^<2+>]iを上昇させた。このAChによる上昇は急激な一過性の上昇(tonic相)とそれに続く持続した上昇(phasic相)の二相より成っていた。細胞外Ca^<2+>除去により、tonic相は影響されなかったがphasic相は消失した。AtropineはAChの作用を抑制した。これらの反応はムチン分泌反応と対応していた。 2.電位依存性Ca^<2+>チャンネル拮抗薬であるジルチアゼムは低温度のAChによる[Ca^<2+>]iの上昇を抑制したが、高濃度のAChの作用を抑制しなかった。クロモグリク酸及びミコナゾ-ルでは作用は認められなかった。 3.Phospholipase C阻害作用のあるneomycinはphasic相を抑制した。Uー73122には作用は認めなかった。 4.GTP結合蛋白質をADPリボシル化してその作用を修飾する百日咳毒素を処置した細胞においては若干AChの作用が抑制される傾向にあった。 5.膜透過性とした細胞においてGTPγSはlysoーPAF・acetylーCoA acetyltransferase活性に影響を及ぼさなかったが、DTTーinsensitive cholinephosphotransferase活性を促進した。 以上顎下腺細胞の[Ca^<2+>]i上昇には細胞内Ca^<2+>貯蔵部位からのCa^<2+>動員と細胞外Ca^<2+>の流入が関与することが示され、この反応には一部イノシト-ルリン脂質代謝回転の促進が関与することが示唆された。GTP結合蛋白質の関与について更に検討中である。
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