研究概要 |
骨芽細胞と骨髄細胞をフィルタ-を介してcoーcultureすると、骨芽細胞が産生する液性因子により、マクロファ-ジ/単球系細胞が特異的に増殖し、その分化抗原として細胞接着因子であるMacー1,LFAー1抗原を有する細胞が増加し、その細胞群の中に多数の破骨細胞の前駆細胞が含まれ、それより破骨細胞が形成されて骨を吸収することを明らかにした。このように骨吸収には骨芽細胞と造血幹細胞の相互作用が必要であり、それは液性因子により制御されている。マウス骨髄、脾臓、および末梢血のリンパ球/単球培養系を用いて骨芽細胞と骨髄細胞の混培養上清を添加培養し、培養1、3、5日後にflowcytometryで分析を行ない、破骨細胞形成過程における各種接着因子の発現について経時的解析を試み以下のような結果を得た。 1.混培養上清による破骨細胞の形成は末梢血リンパ球/単球、脾細胞、骨髄細胞の順に誘導され、それぞれに含まれる破骨細胞の前駆細胞に分化段階が異なることが示された。 2.骨髄細胞、脾細胞、および末梢血のリンパ球/単球からの破骨細胞の出現に相関してMecー1,LFAー1抗原陽性細胞に類似性が認められた。 3.骨髄培養系では培養するに従い、Macー1,LFAー1抗原に関して強陽性細胞が減少し、弱陽性細胞が増加していた。 4.破骨細胞は培養後期から多く形成され、この時のMacー1,LFAー1抗原の発現状況は弱陽性で、強陽性細胞が多い集団からはあまり形成されなかった。 以上のことからMacー1,LFAー1抗原強陽性細胞はマクロファ-ジに分化すると考えられるが、破骨細胞の前駆細胞はMacー1,LFAー1抗原弱陽性細胞に含まれることが示され、混培養上清にはこの破骨細胞の前駆細胞を増加させる因子の存在が示唆された。
|