研究課題/領域番号 |
03680241
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
福岡 敏行 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (40165270)
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研究分担者 |
加藤 圭司 横浜国立大学, 教育学部, 助手 (00224501)
森本 信也 横浜国立大学, 教育学部, 助教授 (90110733)
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キーワード | 概念バグ / メタ認知 / 学校知 / 日常知 / 学習の自覚化 |
研究概要 |
本年度の研究においては、児童・生徒が理科授業で示す概念バクは一律に規定されず、いくつかのレベルに渡って分布していることが明らかになった。これらは、大きく三つのレベルに分類された。すなわちこれらは、日常知への固執レベル、日常知と学校知との葛藤レベル、学校知への漸次的な移行レベルである。児童・生徒のこのような科学概念についての認識レベルを念頭に置く時、彼らへの指導方策は次のような原則論のもとに構想されなければならない。それは、学習者自身による「学習成果の自覚化」である。児童・生徒の概念バグは、学校知への日常知の混入に見られるように、積極的な意図のもとにおける構成であるから、その修正および発展もメタ認知を想起させる「学習の自覚化」のもとで実行されなければ、本質的な理解に到達できないはずである。そこで、(児童・生徒への学習の動機づけ)→(学習の方向づけ)→(達成目標の多様化の促進)→(学習成果の自覚化)→(再動機づけ)…という理科学習指導のループを構想したところ、所定の成果を得ることができた。それは、具体的に述べれば次のような児童・生徒の認識活動であった。児童・生徒は、各自が学習目標を明確に自覚し、各々の目標に従って学習を進め、そしてこれを各自が設定した目標に際して適切に評価でき、これを基にして初めの目標を修正・発展させ、再施行するという認識過程が、ここでの活動の特徴的な部分であった。これらの結果から、児童・生徒の概念バグを解消する指導方法論の構築は、メタ認知、学習目標の多様化という二つの要素を主要因として為されるということが明らかである。来年度は、この方策を実験レベルではなく、多くの単元において実践的に試行するつもりである。
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