1 消費者教育の必要性は認めながらも、せいぜい触れる程度で済ます傾向は、各学校に共通してみられる。例えば、自治体レベルの消費者教育センターを全国はじめて設けた神戸市を訪れ事情聴取をしたが、歴史ある生協をもち、神戸都市問題研究所などの啓発活動が行われているにもかかわらず、上述の傾向は神戸市においても例外ではないことがわかった。 2 やはり小中高等学校を通した一貫性のある消費者教育の体系を整備し、学校の実態に即して展開できるようにすることが重要である。本研究は、一貫性のある消費者教育のキー・コンセプトとして意思決定過程の学習を重視し、そこにおける合理的な判断の規準と選択の過程の指導を具体化しようとするものであり、合理的な判断規準については米国JCEEの消費者教育ないし経済教育における基本概念を参考にしつつ、我が国の文化的背景を考慮し、児童生徒の実態調査を吟味しながら、具体的な指導事例を取り上げて研究を進めた。また意思決過程の指導の在り方については、児童生徒が関心をもって取り組める素材をを広く求め、例えば洗練されたVTR(例:セサミのTke Rotteu Truthなど)を用いた実践事例を検討した。これらの研究を行っていく際、各地における消費者教育の取組を指導案レベルで吟味した。 3 これらの成果を手がかりに、消費者教育を進めるための指導内容構成の視点及び指導方法を煮詰めていく作業に取り掛っている。なお、その集約が来年度の課題である。
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