TFIIEの機能解析 TFIIEαのN末側は転写に必要な領域であり、ヒトTFIIEαの1〜105番目のアミノ酸領域はwinged helix領域であることが明らかになった。この領域はβサブユニットも有している構造モチーフでタンパク質間相互作用、DNA結合に関わる。この領域の点変異体を作成しin vitro転写再構成系で転写活性の測定を行ったところ、25番目のフェニルアラニンと26番目のチロシンはTFIIEβサブユニットとの結合に必要なアミノ酸である可能性が示唆された。またwinged helix因子の中で、TFIIEαサブユニットに特徴的な長いウイングが転写開始から伸長への移行に機能する可能性が示唆された。 TFIIEと相互作用する因子の検索 タグを付けたTFIIEαサブユニットを発現するHeLa細胞から調製した核抽出液から、タグに対する抗体カラムでTFIIEと相互作用する因子を単離した。TFIIEβサブユニットはαサブユニットと同程度の比率で精製されており、さらにいくつかの因子を含んでいた。これらの因子をMaldi-TOFマススペクトルで同定を試みたが、量的に同定できなかった。TFIIEαは細胞内で厳密に制御されているようで、過剰に発現すると細胞が生存できない。そのためマススペクトルのサンプル量を確保することは難しく、新たにタグを付けたTFIIEβを発現するHeLa細胞株を樹立し、核抽出液を調整している。
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