研究分担者 |
CHANDRA S. インド水文研究所, 所長
V.NANDA Kuma ペラデニア大学, 地理学科, 上級講師
C.M.MADDUMA バンダーラ ペラデニア大学, 地理学科, 教授
中川 清隆 上越教育大学, 学校教育部, 助教授 (70115252)
枝川 尚資 朝日大学, 教養部, 教授 (20027270)
青木 正敏 東京農工大学, 農学部, 助教授 (60081569)
嶋田 純 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (80206169)
田中 正 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (50015880)
田瀬 則雄 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (40133011)
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研究概要 |
湿潤熱帯における水循環と地表面(土地利用と植生)の相互作用を明らかにするために,スリランカのウエットゾーンとドライゾーンにおいて基礎資料の収集と現地観測調査を4回にわたり行った.基礎資料として降水量,気温,日照時間などの気象データ,河川流量,蒸発量,地下水位などの水文データ,地形,地質データ,地図類,文献の収集をペラデニヤ大学の協力により行なった.気象データはデータベースとして取りまとめ解析し,南西斜面の雨量の経年変化が明瞭な増加傾向を示していることが判明した. 地域水循環の解明のために初年度に設けた安定同位体分析用の降雨採水地点10ヶ所,日射計と土壌水分変動測点11ヶ所,さらに地下水の水位および水質の測点19ヶ所を一部変更し,より効果的なデータ収集を試みた. 現地観測調査は,初年度に選定した2測線(コロンボ-トリンコマリ-,プッタラム-キャンディー)において集中調査を行った.河川水,地下水,湖沼(灌漑用ため池)水の水質(水温,電気伝導度,pH)を測定するとともに,一般水質および同位体分析のための試料を採水した(夏季調査時に200点,冬季調査時に200点).同位体の分析結果からは,ウエットゾーンでは降水の変動に対応する形で地下水の値が変動するが,ドライゾーンでは降水に対してかなり軽い値を示し冬季の雨のみが地下水へ涵養することが明らかになった.地下水の水質の形成もこれらの涵養機構を反映するが,地下水の流動系にも影響されることが判明した.また,いくつかの異なる植生面での蒸発散量の現地測定を行ない,全島レベルの蒸発散量を推定のための衛星画像の解析も行った. 最終年度は,より大きなスケールでの水循環と地表面との相互作用を検討するための調査を行う予定である.
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