研究課題
(1)定住地の複数の居住集団において人口学的資料の収集と分析を行い、定住化以降の出産率の増大と幼児死亡率の低下が明らかになった。また定住村落以外の近隣地域の比較調査から、広域にわたる家畜の貸借関係を分析するとともに狩猟採集生活と混合した牧畜活動の様相を解明した。さらに雨季における農業活動の観察から労働投下量と収穫量の概略を把握するとともに、栽培品種の多様性と乾燥地における適応力を解明した。(2)VTR資料に基づき日常会話を分析することにより、相手に依頼や要求を行う際にサンが依拠するロジックと戦略を明らかにした。また現金経済の浸透が伝統的な道具製作技術にも大きな影響を与えているばかりか、異なる世代間の対立をも生み出していることを明らかにした。(3)グウィ・ガナ両方言の文法記述に不可欠な形態論・統語論の基礎資料を収集するとともに狩猟文化に特徴的な動物に関わる特殊語彙を調査した。また言語芸術(歌や韻文)資料を記録し、音韻論的・音声学的な解析を行った。さらに親族名称の体系を言語学的に明らかにし、婚姻・譲渡・対人姿勢などの行動規範との関わりを解明した。(4)ナミビアでの広域調査との比較に基づき中央カラハリ地域の鳥類相の資料を集積し、民族分類体系の特性を明らかにした。また、昆虫類の名称体系を記述・分析すると同時に、昆虫食生態の適応的意義を解明した。(5)ボツワナ大学のスタッフは、現地調査をふまえ、文書館の独立以前の歴史資料を分析し、バントゥ系農牧民とサンとの接触の特徴を明らかにした。また研究代表者はロンドンにおいて植民地時代の関連資料を検索・収集した。
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