研究課題
東カリマンタンの湿潤熱帯森林地帯では、1983年に11ケ月にわたる異常乾燥が おこり、広い地域にわたって山火事がおこった。焼けた面積は310万ヘクタールに達し、歴史時代では世界最大の規模の山火事である。丘陵部の低地熱帯多雨林の保護地域としてはカリマンタン唯一のものであるクタイ国立公園で、山火事後の森林の回復過程を長期的視野から詳しく調査し、熱帯林の保全のために役立てようというのが本調査の目的である。1992年の調査(第1年次)では、1986年度に行った第1次調査のあとをうけて、山火事後10年目の状況を、森林植生、昆虫相、哺乳動物の3つの側面から調べ、生態系のサクセッションの観点から評価することを目指した。1.公園中央部の小流域に、火災被害の少ない森林を探し、これを中心に4つの永久クオドラート群を設定した。樹高1.3m以上のすべての林木に標識をつけ、毎木調査をおこなった。2.上記のほか、比較的保存状態の良い森、伐採と山火事で撹乱の著しい森の計3地域に、1平方キロ以上/200ヘクタール程度の広域調査区を設定する作業を進めた。これらの地域の哺乳動物相の確定をすすめ、霊長類については分布と生息密度を調べた。3.果実食性の哺乳動物のテレメトリーを用いての生態学的調査を開始した(手はじめにマレーシベット5個体に装着)。4.島状に残された残存母樹からの種子の分散/動物による運搬について評価するため、トランセクトを設定し稚樹の分布を調べた。5.オランウータンの生息域の現況把握のための調査を行った。
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