研究課題
本研究は新たな展開をみせている石炭の架橋構造(石炭の三次元構造)の分子レベルでの解明と新しい高効率変換プロセスの設計を目的としている。本年度は研究代表者(飯野教授)および米国側代表者(ラーセン教授)が相手国を訪問し、研究方針の打ち合わせと石炭研究施設を視察した後、日本側2人、米国側1人の若手研究者が中心となり共同研究を行い、次のような研究成果を得た。石炭中の水分の量の変化による石炭架橋構造(特に非共有結合による架橋構造)の変化について共同研究を行った。種々の手法で水分量を調整した石炭を試料とし、流通式微少熱量計を用いて溶媒(水・プロパノール)との混合熱、吸着・脱着熱等を測定した。その結果、水分量の違いにより混合熱等の熱量が変化することが確認された。この変化は、水分量が変化することによる石炭中の架橋構造が変化した結果と考えられる。流通式微少熱量計より得られるデーダを北大で行っているEPR、DSC、膨潤度測定等のデータとあわせて考察することによって石炭の架橋構造に関するよる有益な知見を得られるものと孝え、今後も実験を継続して行くことにした。架橋構造が石炭中の溶媒可溶成分を除くことによりどのように変化するか、又、溶媒可溶成分自身はどのような架橋構造をしているのかを検討した。日本側(東北大)で調整した溶媒抽出物および残渣を米国(ブラウン大学)で主としてDSCを用いてその架橋構造を調べ、抽出率による構造が大きく変わることを見出した。日本側でコンピュータを用いる石炭構造の構築を行っており、その結果についての米国側と討論および評価を行った。推定構造の妥当性の検討には密度と孔隙構造を用いるのが良いなどの結果を得た。なお、この結果の一部はハワイで開催されたGordon会議で発表した。
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