研究課題/領域番号 |
04212119
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研究機関 | 国際日本文化研究センター |
研究代表者 |
梅原 猛 国際日本文化研究センター, 研究部, 所長 (60046357)
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研究分担者 |
中路 正恒 京都造形芸術大学, 芸術学部, 助教授 (40188941)
梅原 賢一郎 京都造形芸術大学, 芸術学部, 助教授 (60232906)
鷲田 清一 大阪大学, 文学部, 助教授 (50121900)
浜口 恵俊 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (50030036)
岩田 慶治 国立民族学博物館, 名誉教授
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キーワード | 共生 / 循環 / 再生 / 平等 / 自利利他相即 / 同時性 / アニミズム / 魂 |
研究概要 |
今年度も研究分担者のそれぞれが、それぞれの持ち場で、積極的な活動を行っているのが目についたが、今年度の特徴は、批判すべきもののすべきを批判した上で人類の文明の未来の姿をデザインする、という当研究班の大変困難な仕事を、はっきりと引き受ける、という覚悟が、班員のそれぞれに備わって来たことである。ここでは論点を三つに紋って報告をする。 班長梅原猛氏は、再生、循環、共生、平等主義という論点をさらに展開させるとともに、仏教的な自利・利他相即の関係の思想をより具体的に展開し、例えば子供をつくることそのことの内にも自利即利他の行為をみる論点を提出した。これは遺伝子の一方的な利己性を主張する最近流行の生物学的論点に対する批判であり、そうした行動を関係の自利即利他ネットワークの中で捉える、という新しい観点の必要性を説くものである、と考えられる。 岩田慶治氏はシンクロニシティ、同時性、の概念を展開させた。同時性とは二つの出来事が因果関係無しに、しかし意味の上では深くかかわりながら、同意に起こることを意味するが、この同時性の概念を介して、アニミズと禅仏教が、シャーマニズムと浄士教が一致する層が、明確に取り出され、そうして世界宗教が未開人の宗教を切り捨てようとすることの誤りが明確に示される。 鷲田清一氏は魂についての新しい捉え方を提案する。魂は、身体の中に宿る非物質的な実体のようなものではなく、むしろ身体が魂であり、身体が別の力と関係するときの非物質的な効果が魂と考えられるのだ、という見方が提出された。 以上、三つの論点だけを簡単に紹介した。
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