研究概要 |
本研究は分散適応制御の自律分散システム原理からの見直しである。つまり、分散適応制御系に耐故障性や増設可能性といった自律分散システムの特徴を導入し、秩序維持に対応する安定性が保証できる条件を研究した。これを自律分散型適応制御系と呼んでいる。具体的には一昨年度および昨年度の重点領域研究(課題番号,02248202,03234203)の成果を進めた。 代表者である新は、自律分散原理と分散型適応制御系の関わりを研究し、耐故障性が原理のキーポイントであることを明らかにした。この見方を推し進め、故障の有無に対しシステムの注目する特性が変化しないことが原理の本質であり、カオス,フラクタル,ウエーブレットなどの最新技術の基本である自己相似という概念が有用なことを明かにした。つまり、システムの基本要素の増減に対し、自己相似な構造を持つか持たないかが既存システムと自律分散システムの大きな違いであるということである。 分担者である池田は、これらの原理との関係を踏まえ、故障に対する自己相似性を持つ自律分散適応制御系の定式化を進め、各制御局が複数の入出力を持つ場合や対象のモデル化誤差に対してロバストな自律分散適応制御系の定式化を行なった。これらの成果を計測自動制御学会学術講演会(1992年7月)、国際会議ICARCV'92(1992年9月)、自律分散システムシンポジウム(1993年1月)、適応制御シンポジウム(1993年1月)において公表した。また、1993年3月に開催される国際会議(ISDAS93)などでの発表を予定している。
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