1987年に発見された抗腫瘍構成物質FR-900482(1)及びそのジアセタートFD-973(2)はマイトマイシンやビンクリスチン耐性細胞にも活性であり且つ低毒性であることから注目を集めている。この種の化合物はDNAとcross-linkを形成することが知られておりこれが抗腫瘍活性の発現機作である。 我々はスキーム1に示したDiels-Alder反応を鍵反応としてFR-900482(1)の全合成を計画し、平成3年度には、4の構製部分であるジ-置換キラルアジリジンの酵素を利用した効率的合性法を確立した。 本年度は4のジエノフィル部の3とのDiels-Alder反応およびその芳香化につき予備実験を行い、スキーム2に示すようなルートを開発することが出来た。現在このルートを基本として目的物の全合成を検討中である。
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