研究課題/領域番号 |
04232105
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小池 勲夫 東京大学, 海洋研究所, 教授 (30107453)
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研究分担者 |
田上 英一郎 気象研究所, 室長 (50133129)
簗田 満 北海道大学, 水産学部, 助教授 (00166555)
寺崎 誠 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (20111586)
谷口 旭 東北大学, 農学部, 教授 (30002091)
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キーワード | 微生物食物連鎖 / 溶存有機物 / 懸濁粒子 / コロイド粒子 / ネットプランクトン / 繊毛虫類 / 沈降粒子 |
研究概要 |
本研究では、西部太平洋での代表的な海域である、亜寒帯域、亜熱帯域、赤道域を主な研究海域として、これらの海域における表層域での炭素循環と生物活動のカップリングにより一次生成有機物の変質過程について解析を行うことを目的とする。本年度の主な成果は以下の通りである。 (1)溶存有機炭素の赤道域での鉛直分布を、これまでに得られた亜寒帯域、亜熱帯域でのデータと比較し明らかな、緯度による勾配ー高緯度では表層と下層との差が少なく一方低緯度では明らかに表層が高濃度となり又下層濃度も上昇するーを見いだした。 (2)亜寒帯域、亜熱帯域表層で1mlあたり10^7オーダーで存在する、サブミクロンサイズのコロイド粒子の生物的な生成について検討し、鞭毛虫類が細菌を捕食する過程が少なくとも一つの成因となりうることを明らかにした。 (3)懸濁粒子の組成に関しては、夏季の亜寒帯域表層におけるATP、DNA、Chla等の生体有機物の化学組成と懸濁全炭素量の比較から、生物粒子は植物プランクトン、従属栄養生物とも懸濁有機物に占める割合は小さく、その大部分(70ー80%以上)は非生物粒子であることが推定された。 (4)熱帯域の肉食性動物プランクトンとして重要なヤムシ類の摂餌による、有機凝集物の生産速度が胃内容物の詳細な検討から、1立方ml日当りの生成速度は0.4mgCと推定された。又さらに微小なプランクトンである有鐘繊毛虫、円石藻、放散虫・珪質繊毛虫等の深海へのフラックスがこれらの殻の検鏡計数によって推定する方法が試みられた。その結果表層での生産が大きい、円石藻や珪質繊毛虫によるフラックスが海洋の平均水深の4000m位までは重要であろう。
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