研究分担者 |
山口 晴保 群馬大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (00158114)
貫名 信行 東京大学, 医学部, 講師 (10134595)
石浦 章一 東京大学, 応用微生物研究所, 助教授 (10158743)
勝沼 信彦 徳島文理大学, 健康科学研究所, 所長 (50035375)
中村 重信 広島大学, 医学部, 教授 (30026843)
|
研究概要 |
アルツハイマー病脳に蓄積するPHFの主成分であるタウ(PHF-タウ)の異常なリン酸化部位としてThr-231,Ser-235,Ser-262が同定された。また他の成分であるユビキチンは,N末端の欠けたタウを標的とし,その一部はマルチユビキチン鎖を形成していることを明らかにした。またこれらの燐酸化部位を含む合成ペプチドに対し,MAPキナーゼ,cdc2キナーゼがリン酸化を起すことも判明した。タウ燐酸化酵素として,先年われわれが同定したTPKIとTPKIIにつき引き続き検討し,これらでリン酸化したタウはPHF-タウに類似していた。またTPKIはグリコーゲンシンターゼリン酸化酵素GSK3αの同異体GSK3βであることが判明した。 他の主要な蓄積物であるβ蛋白とその前駆体蛋白であるAPPについては,Val-Ile型の遺伝子異常を持つ家族性アルツハイマー病の脳内で分泌型APPの減少と脳脊髄液の分析からlysosomal pathwayの異常が推定された。APPは脳内では神経細胞とアストログリアにAPP770型が存在し,APP分解酵素はミクログリアに他細胞の100倍近くの活性が検出された。APPとそのC末端部は脳に多く,細胞分画ではC末端部がライソゾームに多いことから,β蛋白が脳細胞のライソゾームで産生することが示唆された。4種のAPPは大脳錐体細胞のみならず副賢髄質クロマフィン細胞の分泌顆粒にも存在し,とくに695型が多いことが判った。また,APPからβ蛋白を切り出すカテプシンとして,大脳ではカテプシンBが多いことも判った。β蛋白の高感度免疫染色により,他のアミロイド斑であるクル斑にβ蛋白が共存し,またプリオン病とアルツハイマー病の共存例も見出された。神経細胞骨格を形成するニューロフィラメントは微小管ヤアクチンと異なり,その側方からsubunitのturn overが行われていることが明らかにされた。
|