研究課題
本研究の目的は、近年問題化している外国人犯罪につき、その実態、及び、捜査・公訴提起・裁判・刑の執行・入管法上の処分の各段階における取扱いの現状と問題を明らかにするとともに、諸外国における状況との比較検討などの作業を通じて、わが国刑事司法のかかえる問題点を認識し、その変革の可能性を探ることにある。2年間の研究期間を終了し、本年度においては、以下のような成果を得ることができた。1 2回の実態調査、1回のヒアリングを行い、現状認識等を深めた。また、3回の研究会を開き、研究分担者が個別テーマにつき報告を行い、討議する中で問題点を抽出し、検討を行った。2 さらに、このようにして得られた知見を踏まえて、総合的な検討をすべく、警察・検察・裁判実務家を招いて座談会を催した。座談会の成果は、研究分担者が執筆した研究論文とあわせて近々公刊の予定である。また、本年4月には、入国管理担当の実務家を招いた座談会を開くことが決まっており、その成果も本年中に公刊の予定である。3 このほか、内外の関係文献・資料の収集・整理の作業を継続して行った。4 研究進行中の最大の問題は、外国人犯罪という課題が新しい問題であって、刑事司法実務の対応も、学会の研究を立ち後れているため、その現象・特質の正確な把握や問題点の抽出に予想外に手間取ったことであった。しかも、3年計画で申請した本研究が2年間についのみ認容されたため、計画内容の縮小等を余儀なくされたが、研究分担者の協力の結果、何とか座談会の開催にまでこぎつけることができた。今後の課題は、このような成果を踏まえて、わが国刑事司法の変革の可能性を具体的に検討することにある。
すべて その他
すべて 文献書誌 (4件)