研究課題/領域番号 |
04404083
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研究機関 | 聖路加看護大学 |
研究代表者 |
飯田 澄美子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (80070671)
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研究分担者 |
村嶋 幸代 東京大学, 医学部, 助教授 (60123204)
佐藤 玲子 聖路加看護大学, 看護学部, 助手 (00255960)
成木 弘子 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (30237622)
野地 有子 聖路加看護大学, 看護学部, 助教授 (40228325)
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キーワード | 後期高齢者 / 在宅ケア / 介護負担感 / 対処能力 / 緩衝帯 / 訪問看護 |
研究概要 |
後期高齢者の在宅介護にあたる主介護者が、介護負担感を減少して介護に取り組むための初段階として、「介護負担を構成する主観的要素」を明らかにする事を目標として研究を行った。前年度の調査結果をふまえ、訪問看護の参与と観察及びインタビューを実施し分析した結果、以下の知見を得た。 1 主観的な介護負担感の要素として、1)“中心的な負担となる要素(要介護者の状態)"に関しては、寝させきり状態を含め、身体的精神的なアセスメント及び支援の必要性を再確認した。2)“情緒的な反応(介護感)"に関しては、〈適応した介護感〉と〈適応が不十分である介護感〉が抽出された。前者は「接近・認知型」「回避・情動型」の対処を含んでいた。3)“負担を左右する要素"は‘介護者の機能'‘介護補助者の機能'‘専門職の機能'‘ケアシステムの機能'であり、これらの機能は他の2つの要素とは異なり介護感を減少させる要素となる場合と増加させてしまう場合もある事が示唆された。 2 要素の構成を検討した結果、負担を左右する要素として、介護者の機能・介護補助者の機能・専門職の機能・ケアシステムの機能が抽出されたが、特に介護者の機能を除く3点は緩衝帯と位置づけた。この緩衝帯がうまく機能する事によって介護者の対処能力は高まり、その結果として介護負担感は減少すると考えられ、緩衝帯の強化が今後の介入には重要である。 3 主観的介護負担感のアセスメントの視点としては、1)要介護者の身体的・心理的等の状態、2)緩衝帯の有無とその機能の状態、3)介護者の対処能力の3点である。緩衝帯にある要素に関してはその有無をとらえるばかりでなく、特にその機能がどの様な形で発揮されているのかをアセスメントする事が必要である。また、継続的に看護介入をする場合は、介護状況の変化に即し看護過程を展開していく必要がある。 これらの結果から家族の介護負担を減少させて行くためには、介護負担を構成する要素や構造を多角的にアセスメントし、介護者が様々な対処資源を活用し心理的ストレスを効果的に対処出来るように、情報提供したり教育したりする機能が求められている。そのためには、実証的研究を進めていく事が有効であると考える。あわせて、家族介護者の対処を促す方法に関する専門職に対する研修の充実が示唆された。
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