干渉計測法は高い精度で形状測定が行えるが、それにより得られる値は測定面の形状と参照面の形状の差である。このため、超高精度の測定を行う際などにおいて参照面の精度保持が問題である。これを解決する1つの方法として本研究では差分干渉計測法を提案した。この方法では、測定面を移動するなど条件を変えて2回測定しそれらの位相データの差をとることで参照面の影響を差し引いてしまい、絶対計測を行う方法である。この方法によれば参照面の精度によらず高い精度で測定を行える。 安定な測定のために干渉計としてゾーンプレート干渉計を採用し、特に絶対測定が重要な応用として球面の曲率半径の計測と、非球面の形状計測に関して研究を行った。その結果、以下のような成果を得た。 1、本研究で考案した、被験面移動装置にもう1つ干渉計を付加して移動の際の被験体の傾きを測定し、その値を用いて測定値を補正する新しい計測法を用いて、実験的に高精度測定が実現できることを示した。 2、差分測定において、2回の測定の際の条件を変える方法として、被験面を光軸に垂直方向に移動するのと平行に移動する場合における精度の比較と適用限界の確認を行なった結果、後者の方が移動の際の被測定面の傾きの影響がなく、移動可能な距離も長いため測定精度が向上する事が分かった。 3、球面に近い非球面形状(たとえば放物面鏡)の形状と球面の差を高精度に絶対計測するために、2回の測定の間に被測定面を、その曲率中心を中心として微少に回転させるように移動する方法を考案し、それら2回の測定の差から形状を求める方法を示した。 4、以上の研究により、実験的に1m程度の球面の半径を0.1%程度の精度で測定できることを示した。
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