研究課題/領域番号 |
04452295
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
佐藤 晃一 愛媛大学, 農学部, 教授 (70033149)
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研究分担者 |
高瀬 恵次 愛媛大学, 農学部, 助教授 (90133165)
櫻井 雄二 愛媛大学, 農学部, 教授 (00036427)
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キーワード | 中山間地域 / 傾斜地農業 / 流域保全 / 過疎化・高齢化 / 直接流出 / 蒸発散 / 渇水流量 |
研究概要 |
本研究の初年度に当たる平成4年度には、開発の影響を評価する目的で、愛媛県下の中山間地における山林地・造成畑地・放牧草地・棚田の各試験流域において、雨量・流出量および気象データなどの観測を継続した。 まず、これらの観測結果に基づいて、各試験流域の流出特性や蒸発散特性などを比較・検討した。その結果、造成畑地や棚田流域における出水時の流出特性は山林地とやや異なること、そして、それは基本的には地表部における土地利用形態の違いに起因すると予想された。とくに、直接流出特性については、出水時に関する水収支的な立場から詳細な検討を加え、直接流出量が総降雨量のみならず初期土湿不足量や下層への浸透特性などに支配されていること、浸透強度は土地利用形態によって異なることを明らかにした。また水収支法を適用して、造成畑地流域と山林地流域の流域蒸発散量を求めた。そして、造成畑地流域では年蒸発散比が年降水量の減少に伴って低下すること、造成畑地流域の蒸発散の方が土壌水分の影響を受けやすく、とくに夏季において山林地流域と差が認められることを明らかにした。さらに、地域資源管理システム構築のために、試験流域おける流況分布を検討し、低水流量・渇水流量の実態を把握するとともに、低水流出予測のための簡単なモデルを開発した。 一方、愛媛県内において過疎化・高齢化による農地管理などの問題を抱えている地域を選定して、現地での聞き取り調査を実施するとともに、林地・農地荒廃の実態を把握した。その結果、過疎化・高齢化により道路や水路の維持管理が困難になること、営農についても通常の維持管理は問題ないが収穫・集荷時にはかなりの負担になることなどが明らかになった。さらに、下流域に存在するダムでの堆砂量増加と上流域における過疎化の進行の因果関係を検討した。
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