研究課題/領域番号 |
04452295
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
佐藤 晃一 愛媛大学, 農学部, 教授 (70033149)
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研究分担者 |
高瀬 恵次 愛媛大学, 農学部, 助教授 (90133165)
櫻井 雄二 愛媛大学, 農学部, 教授 (00036427)
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キーワード | 中山間地域 / 傾斜地農業 / 流域保全 / 過疎化・高齢化 / 直接流出 / 蒸発散 / ピーク流量 |
研究概要 |
本研究の2年目に当たる平成5年度には、愛媛県内において過疎地域に指定されたいくつかの地域と都市地域についての資料を収集して、過疎化の現状や災害状況を調査・検討した。その結果、過疎地域では人口減少率が8%(1985年〜1990年)に近く、高齢化率もおよそ20%に達していること、また、農地単位面積あたりの災害が他地域に比べ数十倍多く発生していることなどの実態が明らかにされた。さらに、過疎化・高齢化による農地管理などの問題を抱えている地域を選定して、現地での聞き取り調査を行うと共に、林地・農地荒廃の実態を調査した。その結果、谷地田などの耕作放棄水田では畦畔の崩壊、管理不十分な林地では風などによる林木の倒壊など、保全上の問題が指摘された。 一方、中山間地域が国土保全に果たす役割を明らかにするため、愛媛県下の中山間地に設けられた各試験流域において、雨量・流出量および気象データなどの観測を継続した。そして、今年度はとくに、棚田流域の流出特性について検討を加えた。その結果、両流域の直接流出特性についてはそれほど大きな違いが認められないものの、ピーク流量は棚田流域が山林地流域に比べておよそ2倍程度大きいことを明らかにした。そして、これは調査対象とした棚田流域では掛け流しのかんがいが行われていることや、山林地と棚田(水田)の排水路密度あるいは浸入能など流域特性の違いに起因するであろうことを指摘した。従来、棚田には洪水調節機能があると考えられてきたが、本試験流域のような水管理が行われる流域ではその機能がそれほど期待できず、今後、棚田の整備を計画する際の貴重な情報を提供していると考えられる。
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