研究課題/領域番号 |
04453015
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 亘男 大阪大学, 教養部, 教授 (70028166)
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研究分担者 |
中山 尋量 大阪大学, 教養部, 助手 (40189080)
江口 太郎 大阪大学, 教養部, 助教授 (50107083)
武田 定 大阪大学, 理学部, 助手 (00155011)
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キーワード | 核磁気二重共鳴 / 核四極相互作用 / サーモクロミズム / 水素結合 |
研究概要 |
酸素-17原子核の核磁気共鳴(NMR)法を用いてサーモクロミズム(熱変色性)の分子論的な機構を研究することを目的として、天然存在比が0.038%の^<17>Oの信号を観測するための^<17>O-^1H二重共鳴分光装置を製作した。この装置は、強磁場中でプロトン(^1H)の核スピンを分極させた後、試料をゼロ磁場領域に断熱的に移動させ、^<17>Oなどの核四極相互作用を有する希薄スピン系にその共鳴ラジオ波を照射し、試料を再び強磁場内に戻して交差緩和(分極移動)によるプロトンの共鳴信号の減少を観測する。本研究では、プロトンの共鳴の観測にはOxford社製の超伝導磁石(磁場強度4.7T,プロトン共鳴周波数200MHz)とBruker社製MSL-200型NMR分光計を使用し、試料移動は前年度に市販の試料搬送シリンダーを利用して設計、製作した加圧型試料移動装置を用いて行った。試料移動距離は80cmで、試料の移動、ラジオ波照射に要する時間は3.5秒である。ラジオ波照射位置における約10mTの漏洩磁場は、前年度に製作したソレノイド型の空芯磁石に13.8Aの直流電流を流すことによって消去した。ラジオ波照射は、周波数シンセサイザの出力を20W高帯域パワーアンプで電力増幅し、今回製作した同調回路に供給することによって行った。^<17>Oの核四極共鳴周波数の測定を行うには、ラジオ周波数を変化させて上記の一連の操作を行うが、この測定を自動化するために、BASICとアセンブラによる自動測定プログラムを開発し、パソコンによって装置の制御、データ収集を行った。結果の解析はパソコンとワークステーションにより行った。この装置により、アセトアミドにおける^<14>Nの共鳴信号がきわめて高感度で観測できたが、サーモクロミズム物質であるN-サリシリデンアニリンその他の類似物質における^<17>Oおよび^<14>Nの共鳴は観測されなかった。その理由としては、これらの物質におけるプロトン共鳴の感度が低く、データのばらつきが大きくなること、プロトンの縦緩和時間(T_1)が試料の移動時間にくらべて短いためにプロトン信号が交差緩和に関係なく減衰する、などがあげられる。これらの点に関する装置の改良が今後の問題であると考えている。
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