研究課題/領域番号 |
04454170
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
島田 和典 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (40037354)
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研究分担者 |
西口 聖治 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (90237686)
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キーワード | ジーンターゲティング / 相同組換え / ES細胞 / F9細胞 / トランスサイレチン / モデルマウス / 遺伝病 / 選択マーカー |
研究概要 |
より効率の良いジーンダーゲティング法を確立するために、ベクター構造の検討を進めている。基本としたベクターの構造は、5.9kbのマウスttr遺伝子の第2エクソンにG418耐性遺伝子(neo)を挿入し、3'末端に単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子(HSV-tk)を配置したもので、ベクターは線状化後にマウス胚性腫瘍細胞株F9細胞へ導入し、相同組換え株の選択にはpositive-negative selectionを用いた。細胞内でのベクターの分解を防げば、相同組換え株の選択効率が上がるのではないかと考え、ベクター末端部を修飾することで、ベクターの安定性を高めようと試みた。まず、self-annealingによりhairpin loop構造をとる31baseのoligonucleotidesを合成した。このoligonucleotidesは、hairpin loop構造をとった際に、その末端部に制限酵素Sa/Iの認識部位ができるような塩基配列にしている。ベクターはHSV-tk遺伝子の3'末端のSa/I部位で切断し、ベクターの両端へhairpin loop構造のoligonucleotidesを連結して、ベクターの断端をなくした。このべクターにin vitroでexonuclease IIIを作用させたところ、消化に対し抵抗性を示した。さらにこのベクターをF9細胞へ導入すると、hairpin loopのないベクターに比べてG418耐性株数が4倍に増加し、GANCによる濃縮効果が3.5倍上昇した。これより、ベクター末端部の修飾によって細胞内でベクターが安定化され、その結果、選択マーカーの効率が高まっている可能性が示唆された。この知見をもとに、より簡便で、かつ、より効率の高い方法の開発を計画している。
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