研究概要 |
1,日本脳炎ウイルスのビリオンおよびエンベロープ形成におけるE蛋白の構造構築過程を詳しく解析し以下の結果を得た。E蛋白は、ERlumen内にpreM蛋白とヘテロ2量体を形成する形で産生される。preM蛋白は、ゴルジ装置においてプロセスされM蛋白となり、E-Mヘテロ2量体の3つが1つの単位となったエンベロープを持つ粒子として完成する。この完成されたエンベロープ上のE蛋白は、酸処理によってE-Mヘテロ2量体からE蛋白のホモ3量体を形成するように変化する。この構造変化は、細胞レセプターとの反応後に起こるエンベロープ蛋白の構造変化を反映しており、細胞膜とエンベロープとの融合を誘導するのに必須の過程である。このような構造変化をE蛋白に誘導させるためには、M蛋白の存在が必要である。特定の領域にアミノ酸変異を導入したE蛋白は3量体への構造変化の生じるpHが異なっており、抹消からの病原性の低いウイルス株は、低いpHで構造変化が生じた。 2,ウイルス粒子のcoreを形成しているC蛋白は、アンカーC蛋白からNS3と細胞のシグナシーゼによる2段階のプロセシングを受けてウイルス粒子中に組み込まれることが明らかになった。このアンカーCおよびプロセスを受けたC蛋白はエンベロープ蛋白とゆるい分子会合をしていた。 3,感受性細胞から75KDの日本脳炎ウイルスのレセプター分子候補を精製しそのN末端アミノ酸配列を決定することができた。ウイルスとレセプター蛋白の結合はHI活性を示すモノクローン抗体によって阻害された。
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