研究課題/領域番号 |
04454287
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
皮膚科学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
林部 一人 神戸大学, 医学部・付属病院, 講師 (40198875)
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研究分担者 |
堀田 博 神戸大学, 医学部, 教授 (40116249)
市橋 正光 神戸大学, 医学部, 教授 (00030867)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | 悪性黒色腫 / 抗腫瘍免疫療法 / ワクチン / 黒色腫関連抗原 / 遺伝子工学 / 組み換え蛋白質 |
研究概要 |
本研究は、ヒト生態(担癌生体)において、強い免疫応答を惹起しうる抗原の同定ならびに、その発現における諸条件の解析を目的とした。報告者らが遺伝子ライブラリーのスクリーニングの結果、得たcDNAクローン(D-1)は、1029bpよりなり、既報告の哺乳動物由来遺伝子とは相同性が低く、新しい黒色腫関連抗原遺伝子と考えられた。黒色腫以外には神経芽細胞腫、TおよびB細胞リンパ腫細胞に存在し、正常線維芽細胞、正常リンパ球、腎癌細胞には認められなかった。コードする蛋白は約34Kdで、生細胞では約50Kdの分子として膜表面に発現されることが抗D-1抗体を用いた免疫沈降反応で示された。このD-1蛋白を固層化して行ったELISAでは黒色腫患者群において正常に比し、約5倍高い血清力価を得た。このD-1 mRNAの生体内分布はD-1 cRNAを用いたin-situhybridizationにより、極めて黒色腫に限局した発現が認められ、主要正常臓器細胞(精巣を除く)では、ほとんどなかった。抗D-1多クローン性抗体を用いた免疫組織化学染色では、D-1 mRNAの発現に一致して、同抗原蛋白の局在を検出したが、黒色腫標本によっては、膜表面よりも、むしろ細胞質に強く局在を示唆する陽性所見を得、D-1蛋白抗原の膜表面発現には特定のHLA class分子の関与の必要性が考えられる。患者群は抗D-1抗体の高力価群と低力価群に分けられるので、その各々におけるHLA class I分子の比較解析を現在行っている。また、autologousなsystemを用いて行ったD-1活性化リンパ球の黒色腫細胞に対する細胞障害活性は、14日目までのco-cultureでは対象と大差なく、28日間cultureによりその差を認めたことから、D-1特異的T細胞のクローナルな拡大が考えられた。上記の如く得られた所見のもと、stage IV患者を中心に能動免疫療法を施行中であり、生存率の延長など、長中期的に観察中である。尚、当初、D-1以外のクローンについても同様実験を行う予定で会ったが、その核酸配列は既報告のE.coli由来のgeneと高い相同性を示すことが判明し、当計画より除外した。
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