本年の研究実績 1.ISH法による研究研画は、当初ハイブリダイゼーション溶液の至適条件(濃度、時間、温度)、特に反応に最適な時間の設定を決定することに難渋したが、その問題もほぼ解決しつつある。現在、通常の扁平上皮癌の生検標本を中心に、早期扁平上皮癌も含めて、ISH(in situ hybridizatio)法により、HPVの局在に関する知見を集積しつつある。今後は癌抑制遺伝子p53とHPVとの関連が示唆されていることから、HPVとp53との二重染色を行い、HPV感染とp53の変異の関連に関する知見を集積していく予定である。 2.PCR(polymerase chain reaction)法による研究計画の方は、positive controlのための子宮頸癌細胞2種類の細胞培養およびDNA抽出を行い、まず、手術後5年以上経過し、予後の判明している小型の扁平上皮癌に関して、PCR法を用いて微量のHPV(特にHPV16、HPV18、HPV33)の存在に関して知見を集積しつつある。現在、コンタミネーションの除去に関して若干の問題が残っているが、おおよそ解決可能な状況となってきている。今後、さらに早期扁平上皮癌、境界病変の解析に向けて、研究を進めていき、その後はras遺伝子の変化に関して検討していく予定である。3.本年の研究結果を総括すれば、ISHおよびPCR法による解析を安定した状態で行えるようになるまで種々の困難があり難渋したが、現在はほぼ順調に施行可能となってきており、今後の研究の進行速度が速まると考えられる。
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