研究概要 |
Fontan型手術の術後急性期には静脈庄上昇、低心拍出量状態のため肝障害が生じ、凝固機能が低下すると考えられる。一方、肝臓で合成される凝固促成因子であるProtein C,Protein Sが肝障害などで低下すると逆に血液凝固が充進する。さらに遠隔期にはこれらの肝臓由来の液成因子特にこれら凝固線溶系の変動が肺動脈瘻に少なからず関係していると推測されているが、術後の凝固線溶系の経時的な変動については明かではない。本研究ではFontan型手術術後において、肺動静脈瘻の一つの原因とされている蛋白液成因子及び凝固線溶系に着目し、肝臓由来の凝固抑制因子であるProtein C,Sと血液凝固線溶機能の経時的な変動を検討することを目的とした。 1)Protein C,SはFontan型手術術後急性期には低値であり、遠隔期にもProtein Cは2例(33%)で、Protein Sは5例(83%)で低値であった。 2)TAT,PICともに術後急性期には高値で、凝固系、線溶系ともに更新していたが遠隔期には正常化していた。Protein C,Sの異常に影響する因子に関して、今後の検討が必要である。
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