研究課題/領域番号 |
04454414
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
桑原 慶紀 順天堂大学, 医学部, 教授 (20010324)
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研究分担者 |
中村 靖 順天堂大学, 医学部, 助手 (70207926)
吉田 幸洋 順天堂大学, 医学部, 講師 (90166950)
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キーワード | 人工胎盤 / 胎児子宮外哺育 / 実験周産期医学 / 体外循環 |
研究概要 |
超未熟胎仔の生理機能(ガス交換、循環、内分泌)の調節制御機構を明らかにすることを目的とし、すでに我々のグループで開発が進んでいる胎仔子宮外保育システムを用いて実験を行った。生理機能の発達を観察するには、まず、胎仔を安定した生理的状態で保育することが前提となる。しかし、従来の長期間保育では、胎仔は最終的には全身浮腫を伴う循環不全に陥り死亡するに至っている。今年度の本研究は、生理機能を評価しうる安定した状態での長超期間保育法の確立を目的とした。胎齢120日と128日のザーネン種ヤギ胎仔2頭を用いて子宮外保育実験を行った。すなわち、帝王切開により未熟胎仔を取り出し、臍帯動静脈にカテーテルを挿入、動静脈バイパスによる体外循環を確立、これによりガス交換を行った。胎仔は恒温環境にある人工羊水中でincubateし、肺呼吸のない状態で維持した。今回は胎仔にdiazepam1.0〜2.5mg/dayとpancronium bromide0.3〜0.6mg/dayを投与し、胎動と飲水行動の抑制を計った。その結果、体外循環は安定して維持され、胎仔は2頭とも全身浮腫の傾向と循環不全の徴候をを示さず、494時間と542時間にわたって安定したincubationが可能であった。さらに、その後、胎仔を人工羊水槽から大気中に移し体外循環回路を遮断したが、胎動は弱く、自発呼吸は認められるものの換気不十分なためレスピレータによる人工換気は必要とした。しかし、room airでの保育が可能であるまで肺成熟が得られたことを確認した。今回の実験で、鎮静剤と筋弛緩剤の使用により、一層長期間の子宮外保育が可能であることが判明したが、一方、現在の方法では呼吸筋、随意筋の発育に障害を残すことも明らかとなった。今後は体外循環離脱のための至適時期、具体的な手順を確立するとともに、胎仔から新生仔への移行に伴う適応能獲得機構を明らかにする。
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