研究課題/領域番号 |
04454414
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
桑原 慶紀 順天堂大学, 医学部, 教授 (20010324)
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研究分担者 |
深間内 一孝 順天堂大学, 医学部, 講師
中村 靖 順天堂大学, 医学部, 助手 (70207926)
吉田 幸洋 順天堂大学, 医学部, 講師 (90166950)
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キーワード | 人工胎盤 / 胎児子宮外保育 / 実験周産期医学 / 体外循環 / デキサメサゾン |
研究概要 |
われわれの開発した胎仔子宮外保育システムは、保育中の胎仔を直視下にとらえることができることから、多くの生理的パラメータを観測可能であると同時に、母体から切り離して胎仔に種々の負荷を加えることができるという特徴を有する。近年、未熟児の肺成熟を目的に投与されることの多い副腎皮質ステロイドホルモン(以下ステロイド)が、胎児の中枢を抑制する可能性があるとの報告があり、ステロイドの未熟胎児に対する薬理作用が注目されている。本年度は未熟な胎仔の安定した子宮外保育を前提として、母体に投与された場合に胎児への移行率が高いステロイドであるデキサメサゾンの胎児中枢神経系に対する影響を明らかにすることを目的として実験を行った。妊娠120日前後のヤギ胎仔を用いて子宮外保育を行い、保育状態の安定した48時間後より負荷実験を開始した。デキサメサゾンは0.3mg/kgを体外循環回路に投与し、投与前3時間、投与後9時間を観察期間とした。胎仔モニターとして血圧、心拍数、心電図、体外循環血流量、酸素飽和度を用い、これらをDAT recorderに記録した。データはoff lineでAD変換(sampling rate:2kHz)の後、コンピュータに取り込み解析を行った。これらのモニター以外に血液ガスを1時間毎、カテコラミン、乳酸、血糖、電解質、血清蛋白質を4時間毎に測定し、その変化を観察した。その結果、デキサメサゾンの投与により血圧、心拍数に大きな変化は認められなかった。胎仔心電図波形より解析したshort term variability(STV)及びlong term variability(LTV)はともにデキサメサゾンの投与により増加傾向を示した。 以上よりSTV、LTVの変化からは胎児中枢神経に対しデキサメサゾンは悪影響を与えないということが示唆された。しかしながら、この結果は他の慢性胎児動物モデルでのステロイド負荷実験の報告と結果が異なり、実験モデルの相違点から考えるとステロイドの影響には胎盤の存在が大きく関与することが推測された。
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