研究課題/領域番号 |
04454568
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
林 泰秀 東京大学, 医学部(病), 講師 (30238133)
|
研究分担者 |
平井 久丸 東京大学, 医学部(病), 講師 (90181130)
小島 美由紀 東京大学, 医学部(病), 助手 (60205391)
鴨下 重彦 東京大学, 医学部(病), 教授 (60048973)
別所 文雄 東京大学, 医学部(病), 助教授 (40010285)
|
キーワード | 急性白血病 / 染色体異常 / 転座 / E2A遺伝子 / TAL1遺伝子 / 分子生物学 |
研究概要 |
t(1;19)-ALL25例において、E2A遺伝子を用いたサザン解析による再構成の検討と、切断点をはさんだオリゴマーを作成したRT-PCR法による解析を行ない、t(1;19)-ALLはE2A遺伝子の再構成の有無により2型に分けられ、再構成のある例はpre-B形質を示し予後不良であるのに対し、再構成のない例はearly pre-B形質を示し、染色体数が50以上で予後良好であることをみいだした。19p13に転座を有するt(11;19)、t(3;19)、der(19)t(19;?)、t(17;19)についてもE2A遺伝子の解析を行ったが、t(17;19)のみ再構成がみられることが判明し、現在詳細な解析を行っている。またT-ALLと悪性リンパ腫で1p32より単離されたTAL1遺伝子の再構成の検討を行い、T-ALL40中10例でTAL1遺伝子の欠失をみいだしたが、悪性リンパ腫25例の検討では欠失はみられなかった。欠失はいずれもTAL1遺伝子の上流90kdの領域であり、欠失領域をはさんだオリゴマーを作成してPCR法により微量残存白血病細胞(MRD)の検討が可能であり、化学療法と骨髄移植後の2例で白血病細胞の動態の追跡が可能であった。悪性リンパ腫で欠失はみられなかったことより、ALLと悪性リンパ腫の発癌機序が異なることが示唆され、今後更に詳細に検討する予定である。 欠失のみられた10例の臨床像の解析では、欠失例は未熟なT細胞形質を示し、縦隔腫瘍等の腫留形成が少なく、染色体正常例が多く、欠失のない症例との比較では統計的に有意に予後良好であり(p<0.05)、T-ALLの亜型であることが示唆された。またこの欠失は成人のT-ALLと悪性リンパ腫40例では欠失がみられず、小児ALLにのみみられる(約25%)ことが判明した。さらにt(1;7)T-ALLの細胞株を用い、T細胞受容体の再構成を利用して1p13の癌関連遺伝子を単離するため、現在pulsed/field gel electrophoresisを行い、サザンの再構成バンドを切り出しプラズミドに組み込み、t(1;7)T-ALLの細胞株から作成したDNAライブラリーから陽性クローンをつり出しているところである。
|