研究概要 |
不規則波発生装置を用いた水層実験を行う際の最大の問題点は,水層中,造波機と反対端に設置したテスト用の模型からの反射波の存在であり,これが造波板で再反射して再度構造物模型に作用するため入射波の特性が所期のものと異なり,実験条件の制御が困難となることである.この研究は造波板を(1)所定の不規則波を発生させつつ,(2)模型からの反射波を吸収するように動作させる簡便なシステムを試作することを目指したものである.平成4年度は主として,反射を波制御しつつ所期の不規則波浪を発生させるシステムのプログラムパッケージの開発を行った. 本年度開発したプログラムパッケージは, (1).複数チャンネルの波高計センサーからの入力をそれぞれ独立に高速フーリエ変換するプログラム, (2).(1)の計算結果より包絡線法で入・反射波を分離するプログラム, (3)(1),(2)で計算した反射波と応答関数との重畳計算により反射波の制御のための造波機駆動信号を計算するプログラム, (4).乱数を入力とし,所定のスペクトル特性をもつ信号を計算し,それより(3)で計算した信号を差し引いて最終的な造波機駆動信号を与えるプログラム, の4つである.今年度はこれら4つのプログラムを本年度購入した計算機に組み込み,相互のプログラムの実行速度の確認を行った.その結果,(1)から(4)までの処理をリアルタイムで行うためには,計算に用いるデータ数,データのサンプリング間隔等に若干の制約があることがわかった.また,発生波の波形の非線形性が反射波制御の制約となる場合のあることが確認された.
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