研究概要 |
不規則波発生装置を用いた水槽実験を行う際の最大の問題点は,水槽中,造波機と反対端に設置したテスト用の模型からの反射波の存在であり,これが造波板で再反射して再度構造物模型に作用するため,入射波の特性が所期のものとは異なり,実験条件の制御が困難となることである.この研究は造波板を(1)所定の不規則波を発生させつつ,(2)模型からの反射波を吸収するように動作させる簡便なシステムを制作することを目指したものである.平成4年度は主として反射波を制御しつつ所期の不規則波浪を発生させるためのプログラムシステムの開発を行い,平成5年度はプログラムのシステムへの組み込みと,プログラムの実行処理速度と造波機の応答速度とのタイミング調整を予定していた.しかし,当初の計画では包絡線法による入反射波の分離推定を行っていたが,不規則波のエネルギーレベルが上がると波形の非線形性が増加し,システムがこれに対しても反応してしまう現象がみられた.そこで非線形成分のフィルタリングと入反射波の分離推定に波形制御法を採用することにしてプログラムシステムの再度の開発を行った.さらに不規則波の吸収制御の際に見られる造波板の変位のオフセットとこれが積み重なった場合にみられる造波板の片振れを制御するために,造波板の中立位置を常に緩やかに0点に引き戻す方式を採択することにした.この方式によれば発生波のスペクトル特性に歪を与えることなく造波板のオフセットを防ぐことが確認できた.現在,前述の波浪の非線形性をハイカットフィルターで除去する方式を検討中である.
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