研究概要 |
平成4年度本試験研究費に基づく研究は以下の1-6の項目に関して行われ,それぞれの研究テーマ毎の研究進行状況は下記の通りである. 1.ハロゲン化芳香族炭化水素のHF-塩基溶液によるハロゲン交換フッ素化反応:ハロゲン化複素環化合物は複素環内ヘテロ原子が反応条件下で強くプロトン化して活性化され,高収率でフルオロ体に転換した. 2.含フッ素置換基を持つ芳香族炭化水素化合物合成:アリールジアゾニウム塩を含フッ素強酸HX中で脱ジアゾ化反応行うことにより含フッ素置換基Xをもつベンゼン類ArXを高収率で合成した. 3.含フッ素アルコキシアジン類の合成とその反応:1.により高収率で得られるフルオロピリジンやフルオロピリミジンと含フッ素アルコールとの反応をDMSOやEt20を溶媒として行い,良好な収率で医農薬等の生理活性物質含フッ素アルコキシアジン類を合成し,その反応性を検討した. 4.ルイス酸触媒によるトリフルオロアセトアルデヒドとジエンの反応:Diels-Alder反応生成物とEne反応生成物を種々ルイス酸触媒により与えるが,塩化亜鉛触媒では前者を,亜鉛トリフレートや塩化錫触媒では後者を選択的に好収率で与えることが見い出された. 5.HF-アミン溶液を用いるオレフィン類の電解フッ素化反応:スチレンのHF-Et3N溶液中での電解フッ素化反応をアセトニトリル共存下で行った結果,ジフルオロ化合物の他にフッ素とアセトニトリルが付加した後加水分解されたフルオロアセトアミド体を良好な収率で得た. 6.トリフルオロメチル基を持つα、β-不飽和ケトンとアルキニルボロン酸エステルとの反応:アルキニルボロン酸エステルは三フッ化ホウ素エーテル錯体存在下にトリフルオロメチル基を持つα、β-不飽和ケトンへ1、4-付加しトリフルオロメチル基を持つγ、δ-不飽和ケトンを選択的に与えることが分かった。
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