研究課題/領域番号 |
04557108
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
市川 厚 京都大学, 薬学部, 教授 (10025695)
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研究分担者 |
原 清人 キッセイ薬品, 創薬品研究所, 研究員
倉科 喜一 キッセイ薬品, 創薬品研究所, 所長
工藤 一郎 東京大学, 薬学部, 助教授 (30134612)
井上 圭三 東京大学, 薬学部, 教授 (30072937)
福井 哲也 京都大学, 薬学部, 助教授 (90111971)
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キーワード | 肥満細胞 / ヒスチジンデカルボキシラーゼ / ヒスタミン合成 / 脱顆粒 / ホスホリパーゼA_2 / チロシンキナーゼ |
研究概要 |
本年度の研究計画に従い、以下の研究成果を得た。 1.(京大グループ)肥満細胞のヒスタミン合成酵素機能について検討し、以下の知見を得た。(1)マウス肥満細胞のヒスチジンデカルボキシラーゼ(HDC)のcDNAを昆虫細胞(Sf細胞)-バキュロウイルス系に発現させた。発現した不溶性HDCは74kDa分子量で不活性体であり、肥満細胞中の可容性、活性体HDC(53kDa分子量)の前駆体であることが分かった。(2)C末端プロセッシングが予想され、約53kDa HDCとなるリコンビンナントHDC cDNAを調整すると可溶性、かつ活性体HDCが発現した。現在、この可溶性、活性体HDCの大量発現の検討中である。(3)74k Da HDCと53kDa HDCを識別するペプチド抗体の作製を行い、C末端プロセッシングを確認した。現在、プロセッシング酵素の関与をはじめその機構を検討中である。(4)マウスHDCとヒト白血病HDCの遺伝子の解析を行い、プロモーター領域でのDNAエレメントを解明した。2.(東大グループ)肥満細胞活性化におけるPLA_2の機能について検討し、以下の知見を得た。(1)II型PLA2は肥満細胞の活性化に伴って、細胞外に放出された。(2)II型PLA_2特異的阻害剤は、例外なく肥満細胞の脱顆粒反応を抑制した。このことから、脱顆粒反応には細胞から分泌されるII型PLA_2が必須であると結論した。そこで、細胞外から別途精製したII型PLA_2を添加し、その肥満細胞活性化能について解析した。(3)細胞外IIPLA_2により、脱顆粒反応が惹起された。この反応はII型PLA_2阻害剤またはヘパリンにより阻害された。II型PLA_2の活性中心に加えてヘパリン結合部位が必須であると考えられる。(4)本反応は、チロシンキナーゼインヒビターにより阻害され、刺激伝達の下流にチロシンキナーゼが存在すると予想される。
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