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1992 年度 実績報告書

アダム・スミス『国富論』第1・2篇の理論的・実証的再構成

研究課題

研究課題/領域番号 04630006
研究機関広島大学

研究代表者

高 哲男  広島大学, 経済学部, 教授 (90106790)

キーワードアダム・スミス / 価値論 / 価格論 / 経済成長論 / 地代論
研究概要

本年は3年計画の初年度であったから、研究は過去の研究史の再調査と整理および社会経済史や統計資料をめぐる基本的文献の調査・収集が中心であった。文献、統計資料、データ・ベース等の作業は予定よりも遅れがちではあるが、順調に進行しつつある。来年度の作業によって、かなりの程度・範囲をカバーできるようになるであろう。
直接の研究としては、『国富論』1篇11章に含まれる長大な「過去4世紀における銀価値の変動にかんする余論」の理論的・実証的な再構成が試みられ、前半の歴史分析を中心に論文にまとめ発表した。刊行は平成5年5月の予定であるが、この研究によって明らかになった点は、以下の3点である。
1.アメリカ大陸における豊度の高い銀鉱山の開発が進むにつれて、ヨーロッパにおける銀の価値は約90年間下落しつづけた。この90年間は、銀の価値がその「自然価格」に落ちつくために要した期間だというスミスの理解が示すように、彼の「自然価格」概念は長期の均衡価格としての特徴をもつ。
2.金と銀の価格は「改良と耕作の進展」につれて長期的に上昇しつづけるというスミス独自の理論命題は、あくまでも市場需給説的な立論ではあるが、基本のところで必要な投下労働量=労働価値説によって裏打ちされている。つまりスミスは、市場における「需要と供給」との均衡を、市場に存在する財貨の「総需要と総供給」のそれとは捉えず、「年々の生産量」と「年々の消費量」との中・長期的均衡と捉えることにより、社会的に大量に累積されている「貨幣」用貴金属の存在量を、市場均衡価格決定から分離するという工夫をした。
3.労働大象の実質賃金、つまり生活水準の向上については、地域的な違いが大きいということが分ってきた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 高 哲男: "アダム・スミスの「地代」論(IV)-「過去4世紀における銀価値の変動にかんする余論を中心に-" 広島大学経済論叢. 17-1. (1993)

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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