研究概要 |
平成4年,5年度の2年間の研究補助金による研究期間のうち,この報告書は平成5年度分の研究成果の概要をまとめて報告するものである。研究は毎週会合をもち討議を重ねながら行われた. 多変量解析に関しては、楕円型分布を母集団分布とした場合の統計的推測の基礎となる標本論の第1歩が完成した。標本共分散行列Sの関数の極限分布を得るための公式,またSの関数の期待値に対する漸近展開公式を導びいた。このために,標本平均,Sが正規の場合と異なり独立でないため困難を伴う。この難点を克服することが鍵となっている。これらの公式を用いる例題を具体的に示している。 昨年度のステューデント化範囲にR_<max>と同様の研究であるが、正規の場合,対照処理平均と他のk個の処理平均との間の多重比較(同時信頼区間)を具体的に行うためのキーとなるT^2_<max>-型統計量の上方パーセント点を修正第2次近似法によって評価する方法を開発した。近似の精度を大規模なモンテカルロ数値実験により詳細に検討するとともに,近似法が有効であるパラメータの範囲も定めた。 実験計画・分散分析に関しては,一般化線形モデルの誤差項の共分散行列がある種の特殊構造を持つ場合のP一次元確率変量XをCyclic Random Vectorと名付け,n個の観測データの分散分析について,P=2〜5の場合を詳しく調べ、共分散行列の特殊パターンに応じて分解される仮説の実際的な意味づけを行った。さらにこれらの仮説を検定するためのF-統計量をそれぞれ具体的に定義した。また提案した検定方式と、よく知られているHotellingのT^2-検定との比較を行うと共に,例題も与えて具体的に説明した。
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