本年度の研究計画に対応させた研究実績の概要は以下のようである。 前年度から持ち越された若材齢コンクリートの耐凍害性能に関する試験では、(1)十分な空気が混入されるならば、コンクリートの水セメント比や含水状態に関係なく、230kgf/cm^2の圧縮強度が得られるまで養生することにより十分な耐凍害性が確保できること、(2)寒中コンクリートの施工では湿潤養生を避けることが耐凍害性の観点から極めて有利であり、打込み直後から1〜2日程度適度に乾燥させても強度発現に悪影響を及ぼさないこと、などの新たな知見が得られた。また、厳しい自然環境下における一冬の凍結融解作用を模した1日1回の緩速凍結融解(+10〜-13℃)を60サイクル与えた試験では、(1)緩速凍結融解の間に、長さ変化率の値にほとんど影響を及ぼさない程度の極めて微細な劣化がコンクリート中に生じること、(2)この微細な内部劣化は、その後の耐凍害性に影響を及ぼし、その程度は水セメント比が大きい場合や含水量が多い場合に特に著しくなること、(3)水セメント比が60%を超える範囲では、内部劣化が修復される効果はあまり期待できないこと、(4)水セメント比が45%以下の範囲では、極めて厳しい環境下でも、比較的容易に十分な耐凍害性を確保できること、(5)湿潤養生しない場合の養生終了時の所要圧縮強度は、水セメント比が60および65%の場合に、それぞれ、約50および150kgf/cm^2であり、湿潤養生の場合に比べて著しく小さくなること、等の実用上極めて有用な結果が得られた。
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