十分な量のエントレインドエアを混入させた若材齢コンクリートを対象として、コンクリートの耐凍害性に及ぼす寒中コンクリートの養生方法について検討した。本研究で得られた主な知見を以下に示す。 (1)湿潤養生が困難な初期材齢に1〜2日程度の適度な乾燥を許容し、その後に十分な湿潤養生を行う方法は、強度発現性状をほとんど損なうことなく、耐凍害性を著しく改善する実用的な方策として有効である。 (2)養生方法が同じならば、養生終了時の所要圧縮強度は、水セメント比が小さい場合ほど小さくてよい。 (3)養生方法が同じならば、通常の水セメント比の範囲(W/C=45〜65%)においても、水セメント比を小さくすることによって必要養生日数を大幅に短縮できる。 (4)自然環境におけるような緩やかな凍結融解作用を受ける場合にコンクリートに生じる内部劣化は、独立した形の極めて微細なものと考えられ、セメントの水和能力が多く残存していれば、これを修復することが可能である。 (5)水セメント比を小さくすれば、凍害による内部劣化の修復能力の増大、養生終了後の強度増進による劣化抵抗性の増大、自己乾燥による飽水度の減少などの、コンクリートの耐凍害性を向上させる効果が高まる。 (6)飽水状態に近いコンクリートの耐凍害性能は、その圧縮強度のみによって決まる。このような含水状態で、十分な耐凍害性を確保するために必要な圧縮強度は、約230kgf/cm^2である。
|