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1992 年度 実績報告書

配位不飽和遷移金属酸素錯体の化学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 04650787
研究機関大阪工業大学

研究代表者

西長 明  大阪工業大学, 工学部, 教授 (80025882)

キーワードコバルトシッフ塩基錯体 / スーペルオキソ錯体 / ESRスペクトル / UV-VISスペクトル / 配位平衡反応 / 温度依存可逆的酸素脱着
研究概要

サリチルアルデヒドの3-および5-位に各種置換基を有する誘導体とエチレンジアミンとから成るシッフ塩基を配位子とするコバルト(II)錯体[Co(SB)](平面四配位錯体)を合成し、これらのジクロロメタン溶液中での温度依存性可逆的酸素脱着反応について研究し、以下に述べるような成果を得た。
1.電子スペクトル。Co(SB)のジクロロメタン溶液の電子スペクトルは室温ではCo(II)の吸収スペクトルを示すが、酸素雰囲気下冷却すると、-60℃付近でCo(III)種のスペクトルに変化する。温度を室温に戻すと、再びCo(II)のスペクトルに完全に復元した。この変化は可逆的であってCo(II)(] SY.dblharw. [)Co(III)の変化温度は錯体配位子の置換様式に依存し、酸化還元電位が正側にあるものほど低温になることがわかった。
2.電子スピン共鳴スペクトル。Co(III)のスペクトルを与える溶液を 77Kに凍結してESRスペクトルを観測したところ、スーペルオキソコバルト(III)錯体として帰属されるシグナルを得た。ESRパラメータは錯体配位子の置換基にはほとんど影響されない。従って生成スーペルオキソ錯体の電子状態はすべてよく似ているといってよく、生成に要する温度が異なることを示している。ESRパラメータの解析から、配位酸素がCo(SB)平面から浮き上がった形をしていることが想定される。
3.配位反応。上述の酸素錯体は五配位形であるが、これに-80℃でピリジン、トリフェニルホスフィン、アルコキシド等を添加すると、従来よく知られている六配位形スーペルオキソコバルト(III)錯体のESRシグナルを与えることを見出した。この結果は遷移金属酸素錯体の化学に新しい知見を提供している。
4.配位不飽和酸素錯体の単離。-80℃で得られた五配位形酸素錯体の溶液にヘキサンを加えたところ、配位不飽酸素錯体が析出した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] W.Hiller,A.Nishinaga and A.Rieker: "A Simple Model for the Enzyme-Substrate-Complexof the Quercetinase Reaction.Crystal Structure of Flavonolatocobalt(III)(salen)" Z.Naturforsch.47b. 1185-1188 (1992)

  • [文献書誌] A.Nishinaga,S.Forster E.Eichhorn,B.Speisen and A.Rieker: "Co(salen) Catalyzed Oxidation of 2,4,6-Tri-t-butyl-anilines with t-Butylhydroperoxide" Tetrahedron Lett.33. 4425-4428 (1992)

  • [文献書誌] K.Maruyama,Y.Murakami,K.Yoda and A.Nishinaga: "Catalysis by Cobalt Schiff Base Complexes in Highly Selective Conversion of Arylglyoxals to α-hydroxyacetic Esters" J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1617-1618 (1992)

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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