1.エチレン生成酵素の触媒反応の化学量論式 昨年度の知見を総合して、次式のような化学量論式を構築した。 3[α-KG]+3O_2+[Arg] 2[Ethy]+[Suc]+[Gua]+[P5C]+7CO_2+3H_2O ここで、α-KG=α-ケトグルタール酸、Arg=L-アルギニン、Ethy=エチレン、Suc=サクシネート、Gua=グアニジウムイオン、P5C=L-Δ^1-ピロリン-5-カルボン酸を表す。 2.エチレン生成酵素の推定反応機構 この酵素は、Fe^<2+>とシッフ塩基を介してα-KGとL-アルギニンの結合した1つの中間体を出発物質として、α-KGからエチレンを生成する反応と、同時に、α-KGからコハク酸を生成する反応と、L-アルギニンからグアニジウムイオンとP5Cを生成する反応を、それぞれ触媒し、その比率は2対1であった。 3.総括的な結論 P.syrinagae pv.phaseolicola PK2のエチレン生成酵素は、その酵素的諸性質、触媒する反応の化学量論式、および、推定反応機構などを総合して、既知のものと異なる、全く新しい酵素であると結論した。
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