これまでに、ヒトのインシュリン遺伝子、H‐ras遺伝子、マウスDNAのショウジョウバエper遺伝子類似領域、M_<13>ファージDNA・ウシDNAのミニサテライト類似領域のクローンをプローブとし、カンキツゲノムDNAに対しサザンハイブリダイゼーションを行った。検出に際しては、非アイソトープ系キット、ECL遺伝子検出システムを用いた。その結果、per遺伝子、M_<13>ファージDNA、ウシDNAの類似領域のクローンにより、シグナルが得られた。per遺伝子については相同性が低いと考えられ、かなり甘い条件にしないとシグナルが得られなかった。またM_<13>ファージDNAに比ベ、ウシDNAの類似領域の方がより、強いシグナルが得られたので、これを用いることとした。 DNAフィンガープリンティングを行ったところ、これまでのアイソザイムや、フラクションIタンパクでは識別することのできなかったタンゴールやマンダリン同志を両親とする品種群を識別することができた。また、それぞれのフラグメントはいずれかの親由来となっており、花粉親の同定などにも利用できることが分かった。 しかし、DraI消化した際に、現れる10kbp付近のあるフラグメントは必ずしも親のフラグメントの長さが保存されていなかった。このフラグメントはrDNA領域を含んでおりその変異の速さから、品種の識別には有効であることが示された。 ここで、M_<13>ファージのミニサテライト類似領域が存在することが示されたので、それ自体をプライマーとして全DNAをテンプレートとし、PCR増幅を行ったところ、その産物により、先のDNAフィンガープリントと同様に品種レベルでの識別を行うことが可能であった。 これらの産物は、カンキツのミニサテライト配列を含んでいることが考えられたので、さらにクローニングを試みることとした。
|